2016年11月27日

初めての北陸旅行記 その17

皆様こんにちは。柳井グランドホテルの松前篤始でございます。今回も前回に引き続き、北陸旅行のお話をしていきたいと思います。


前回はまつだい駅までの様子をご説明いたしました。今回は十日町駅までのご様子をお話しいたします。



まず到着したまつだい駅のお話ですが、ここは前回の鍋立山(なべたちやま)トンネル同様、ほくほく線を語る上で欠かすことのできない施設です。ほくほく線の冬場の定期運行の礎である除雪車をはじめとした保線車両が眠る松代工務区や、地元の有志によって作られたミニチュアの「はくたか」モニュメントの存在、そしてなによりこの地は「ほくほく線発祥の地」でございます(下にお示しいたしましたものが、まつだい駅に併設された道の駅に鎮座する「はくたか」モニュメントでございます)。


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その昔、豪雪地帯であるが故に鉄道が必要であると認識した当時の松代村の住人たちが、鉄道敷設を強く望むようになったことから、当地の鉄道の歴史は始まったそうです。それを記念した石碑が、このまつだい駅前に設置されております。さらに今年、ほくほく線に特急「はくたか」が18年間走り続けていた功績を讃えることを目的として、「はくたか」に使用されていた681系電車を模した石像が追加されました。こちらはほくほく線列車の車内からもはっきり拝むことができます。なお、こちらの石像は前述のモニュメントとは別物でございます。




残念ながら私はこの石像が完成して以降当地に降り立っておりません故、その写真はまだご用意できかねますが、北越急行のホームページには、この石像の写真が掲載されております。私も拝見しましたが、実物のイメージを損なうことなくデフォルメがなされており、大変素晴らしい出来となっております。是非皆様にもご覧いただきたく存じます。そして、ご来訪の際には下のような臨時列車を利用するというのもまた一興でございます。運行情報に関しましてはJR東日本のホームページをご参照下さいませ。


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ほくほく線の歴史が詰め込まれたような、そんなまつだい駅を後にした列車は、再び長大トンネルの暗闇の中へ飛び込んでゆきます。相変わらずの110km/h近い高速で山中を弾丸のように貫いてまいりますが、突如列車は減速を始め、トンネル内で停車してしまいました。とはいえ故障や事故ではなく、ほくほく線を知る者にはお約束のイベントの一つでございます。



ほくほく線内の行き違い(専門用語では「交換」と称します)可能駅は犀潟(さいがた)、くびき、虫川大杉、まつだい、十日町、六日町の6駅でございますが、何度も申し上げておりますように、ほくほく線には「はくたか」の運行を妨げないための様々な設備が存在します。それは交換設備に関しても同様であり、それがこの6駅以外に設けられた、儀明(ぎみょう)、薬師峠(やくしとうげ)、赤倉(あかくら)の3つの信号場でございます。信号場とは乗客の乗降以外を目的として分岐器や交換設備を有する施設のことを指しますが、ほくほく線の場合はこれら3つが全てトンネル内に設置されております。これがほくほく線の信号場の特殊たる所以であり、その結果前述のように何もないトンネル内で突如停車することとなったのでございます。



列車内でしばらく耳を澄ましておりますと、徐々に暗闇の先から轟音が迫ってくるのを感じます。それはあっという間に眼前まで到達し、光の矢のごとく一瞬で走り去ってゆきました。残念ながら写真の撮影には失敗してしまいましたが、インターネット上にはこの通過の様子を記録したものが散見されます。最早通例となりつつありますが、今回もご興味を抱いていただいた方には、動画サイトなどでの検索をお願い申し上げます。



束の間の「はくたか」との邂逅を終えた私は、再び走り出した列車に揺られ一路十日町駅を目指しますが、5分前後で突然暗闇から解放され、車窓に信濃川の雄大な姿を拝みつつ十日町駅到着放送を聞くこととなります。十日町駅前後にはほくほく線内では急な曲線が存在するほか、停車列車は全て分岐器の分岐側を通過しなければならないため、他駅より若干早めに減速を始めます。そしてまもなく列車は停車し、私は再び寒空に体を放り出しました。もちろん直後に写真撮影を開始いたしましたが、さほど時間を置かず発車した列車が去りゆくと共にそれは唐突に終わりを告げました。そのうちの1枚をこちらでお示ししつつ、今回のお話を締めくくらせていただきます。


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今回はここまでです。次回もよろしくお願いいたします。


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2016年11月14日

初めての北陸旅行記 その16

皆様こんにちは。柳井グランドホテルの松前篤始でございます。今回も前回に引き続き、北陸旅行のお話をしていきたいと思います。



前回は大池いこいの森駅をご紹介いたしました。今回はややペースを上げ、途中のまつだい駅までの様子をご案内いたします。



大池いこいの森駅を発車いたしますと、いよいよほくほく線の長いトンネル区間に入ってまいります。110km/hで長大トンネルを突き進むため、しばらく車内は轟音に包まれます。駅間距離はおよそ5kmであり、そのうち3km超を1本のトンネルが占めています。その轟音が収まってくると、うらがわら駅に到着します。この駅も大池いこいの森駅と同様に線路にホームが横付けされただけの「棒線駅」でございますが、利用者数はうらがわら駅が大幅に上回っています。



さらに今年、北越急行株式会社は佐川急便株式会社と提携し、貨客混載事業を開始した模様です。うらがわら駅と六日町駅の間、つまり佐川急便の上越営業所と六日町営業所の間でほくほく線を利用した荷物輸送を行い、鉄道の定時性を利用した安定輸送を実現させることをはじめ、利用者の利便向上を図るための様々な取り組みが計画されています。輸送を担当する列車は、もちろんこのHK100型でございます。運次第では、ちょうど輸送中の列車に出くわすやもしれません。



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北越急行は「はくたか」廃止以降、大幅な収益減が問題となっておりますが、それを少しでも補填するために今回のような、それまで見られなかった多彩な事業を展開するようになりました。北越急行のホームページをご覧いただければ、その一端をご理解いただけることと存じます。



うらがわら駅を出ると、今度はさほど時間をかけずに次の虫川大杉(むしがわおおすぎ)駅に到着します。ここは「はくたか」運行時に単線故の行き違いが日常的に行われてまいりました。さらに、開業から数年はスキー輸送専用列車である「シュプール号」が停車していたことでも有名でございます。その名残として、現在でもこの駅の1番線ホームには、明らかに長編成対応の長いものが設置されています。下の写真をご覧いただければ、その不自然な長さをご理解いただけると存じますが、現在は直江津方面への超快速「スノーラビット」が停車するほかは、特別な列車の停車が見られることはなくなってしまいました。



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虫川大杉駅の次、ほくほく大島駅は、トンネルとトンネルの間に挟まれた小さな「棒線駅」です。しかし1日数本のみ運転の快速は停車することもあり、ある程度の需要は存在しております。この駅の特筆事項といえば、なんといってもホームの六日町方に大きく口を開けている鍋立山(なべたちやま)トンネルでございます。ホームの目の前に見えますこのトンネルは、建設当初ホームをトンネル内に設置することが計画されていたこともあり、まるで複線トンネルの断面のように見受けられます。ほくほく線のトンネルの多くが下にあるような単線トンネルであることもあり、その形状からしてかなり特異に見えます。



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このトンネルは当時の最新鋭の機械すらも跳ね返したほどの特殊かつ厄介な地層を貫いているため、このトンネルの完成がほくほく線開業の可否にかかっていたといっても過言ではない、そのような大変な苦労の下に建設されました。私もこのトンネルに関しては様々なお話を聞いてまいりましたが、その中でも最も感銘を受けたお話として、最新鋭機械すらも通用しなかった箇所の最終手段として、特殊な薬剤を投入しつつ人力で掘り進めて行ったというエピソードを挙げます。


これこそ鍋立山トンネルに建設現場で働いていらっしゃった皆様のすさまじい覇気が込められていることの証左であり、私は畏敬の念を抱かずにはいられませんでした。私の稚拙な文章でこのような壮絶な労苦を十二分に表現しきることはとてもできませんが、皆様がご乗車なさる際にそのような血と汗が滲んだ歴史に思いを馳せていただける、そのきっかけだけでも作ることができれば幸いに存じます。



9kmにも及ぶ鍋立山トンネルを走り去る轟音に耳が慣れてくるころ、ようやく列車は次のまつだい駅に到着します。ここにも様々な逸話が隠されておりますが、それにつきましてはまた次回にお話しいたします。


今回はここまでです。次回もよろしくお願いいたします。

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2016年11月06日

初めての北陸旅行記 その15

皆様こんにちは。柳井グランドホテルの松前篤始でございます。今回も前回に引き続き、北陸旅行のお話をしていきたいと思います。


前回はほくほく線の犀潟(さいがた)〜くびき間で見られる広大な田園風景についてご紹介いたしました。今回は頚城平野(くびきへいや)に別れを告げ、さらに先へと進んでまいります。



くびき駅を発車すると、すぐに短いトンネルに入ります。トンネルがあるということはもちろん山を越えたということになるのですが、この付近は時間にしてわずか15秒足らずのこのトンネルを越えただけで大きく天候が変わります。


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この上の2枚の写真がすべてを物語っています。これらの写真の撮影時間の差はわずか1分です。つまり、秒単位の誤差を差し引いたとしても、おおよそ2分以内でここまで車窓に変化が見られるということです。生憎と実際に雪が降っている瞬間に出くわすことは叶いませんでしたが、旧上越国境越えに匹敵するドラマティックな車窓の変化に、私は度肝を抜かれました。冬季は美しい稲田が拝めず、一見すると退屈に思えてくるこの区間。しかし厳寒期に乗車してその真の姿を目の当たりにしたとき、私はほくほく線の魅力の幅広さを思い知った気がしました(なお、上2枚の写真は復路に「はくたか」の車内から撮影しました)。



一面を雪景色に覆われるようになってから程なくして、列車は大池いこいの森駅に到着します。駅舎の形は少々奇抜ですが、線路に横付けされただけのホームからは、広大さではくびき駅周辺に及ばないものの、夏季には美しい稲田を見渡すことができます。また、この駅はほくほく線の中でも特に乗降者数が少ないことでも有名です。しかし裏を返せば、それだけ駅周辺が閑静であるということです。中途半端に「何もない」駅はただ不便なだけで扱いに困ることもございますが、ここは本当に「何もない」駅です。考えようによっては、このような駅は都会の雑踏に疲れ果てた人にこそ「目的地」になりうるのではないでしょうか。



まるで稲田を見渡す展望台のようなこの駅のホームに人影が見え隠れすることはほとんどありません。それ故、誰にも気を遣うことなくこの展望台を独占できるのです。そんな場所で一人読書にふける、あるいは何も考えず、ただ稲田を眺めて悠々と過ごすのも良いかもしれません(下の写真が大池いこいの森駅でございますが、運転台付近から撮影したため少々見えづらくなっております…)。


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時の流れが「万年スローモーション状態」であるこの駅では、どんなことをしようとも、それがその人の望みの通りである限り、頭と体が自然と休まります。常識的に考えれば、毎日のように仕事に追われる社会人にとって、こんな田舎で休息のためだけに無為な時間を過ごすなど愚の骨頂であるのかもしれません。しかし、こうして意味を求めない時間を過ごすことこそが、実は最高の贅沢であり、最高の休息となるのではないでしょうか。



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過疎化と都市部への人口流入が著しい昨今、社会的に必要性が薄まりつつある駅は全国的に増加してきています。そのような駅のなかには、役目を終え廃駅となってしまうものもありますが、まだその生を全うしている間は、社会生活に疲れてしまった人々の休息の場としての存在というあり方も認められるべきではないかと、新潟の小駅に思いを馳せて私はそう思い至りました。


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執筆時点(2016年11月)で学生である私めがこのようなことを皆様に申し上げるなど滑稽の極みですが、こうして考えてみると誰からも必要とされない駅など存在しないのではないかと思えてきます。しかし真正面からでは聞くに堪えないような、社会のイロハも分からない愚かな若造の戯言でございます故、お聞き流しの上一笑に付していただければ幸いに存じます。


なお、途中関係のない駅の写真が混じっておりますが、これらは後日訪問いたしました際、私がその雰囲気に感銘を受けました駅でございます。上から順に北陸本線南今庄(みなみいまじょう)駅、東北本線東白石(ひがししろいし)駅となっております。いずれも無人駅であり(東白石駅などは、そこそこの利用者がいらっしゃるようでございますが、列車の到着時以外は人影が見当たりません)、それでいて何らかの個性を持つ素晴らしい場所であると私は感じました。もしお気に召していただけましたら、是非皆様もご訪問していただければと存じます。


今回は少々長くなってしまい失礼いたしました。次回もよろしくお願いいたします。



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