2017年11月12日

道央旅行記 その4

皆様こんにちは。柳井グランドホテルの松前篤始でございます。今回も前回に引き続き、北海道旅行のお話を致します。

諸事情により前回の投稿からかなりお時間を頂戴してしまいました。しかし変わらず熱意を持って取り組んでまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

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北海道医療大学駅から30分、列車は札沼線非電化区間の数少ない有人駅である石狩月形(いしかりつきがた)駅に到着します。この駅では列車が長時間停車するため、前回申し上げた「イベント」の数々を楽しむことができます。


まずは列車を降りて駅舎内の窓口へ。ここでは他とは違う面白いきっぷを買うことができます。

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それがこちらの赤いきっぷです。通常みどりの窓口で購入できるきっぷは青地のきっぷであり、それはJR各社の紋章の違いはあれど基本的には変わりません。しかしここで販売されているきっぷは赤字です。これは主にきっぷの発行手段が関係しております。

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通常の青地のきっぷは発券用の機械で印刷を行い、また自動改札などで情報を読み込む必要がございますため券自体が磁気を帯びた「磁気券」となっております。これはきっぷをめくった際裏側が一面黒色であることからも分かります。この磁気がきっぷにとって何よりも重要です。特に大都市圏などでは発券経路は無限に存在するため、自動改札では膨大な情報を内包できる磁気券でなければ対応することができません。そのため駅で手に入るきっぷは通常青地の磁気券にならざるを得ないということです。


一方の赤地の券は磁気を帯びておらず、裏面も地の紙の色がそのまま表れた白色です。これはこのきっぷが予め印刷されており、また発券区間も近距離(一部は東京都区内などの大都市圏まで)の決まった駅だけに指定されているためです。このような特徴を備えているため、別名「常備券」とも呼ばれております。発売駅はかなり限られておりますが、好事家の手によってインターネット上で情報交換がなされていることもございますので、そちらを調べていただくとより詳しい情報が入手できるかと存じます。

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窓口できっぷを購入した私は再度ホームへと戻ります。私の乗ってきた新十津川行きの列車は依然として停車中ですが、この後来る対向列車との交換時に再びイベントが待ち受けております。

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それが上の写真に見える円形の金具を列車から列車へと引き継ぐ「スタフ受け渡し」でございます。これはスタフ閉塞と呼ばれ、ある区間に通票と呼ばれる通行証を持った列車のみを通行させることで信号機を設けずに列車の管理を行う方式にて用います。この通票にもいくつか形式が存在し、この札沼線ではスタフと呼ばれる形式を採用しております。

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この通票を用いた閉塞形式は希少とされており、それ故に石狩月形駅ではただ列車が行き違うだけのイベントに多くのファンが注目しますが、その希少性を作り出した原因の一つに挙げられるのがその非効率性です。安全管理の要となる通票は原則として1区間に1つしか用いられないため、通票を所持した列車が到着するまで対向列車は発車できません。そのため遅延が拡大する確率が極めて高く、また運転本数も相当限られます。この条件では大多数の鉄道路線は運行が成り立たず、逆にこれで問題ないほどの路線では採算が取れない可能性が高くなります。つまり本数と需要のバランスが相当繊細なバランスで成り立つ路線でしか存続できない、そんな難しい気性を持ち合わせているシステムなのです。

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この札沼線も路線の存続が危うい状態が長く続いており、この石狩月形駅の見どころもいつ過去のものとなるか分かりません。このような希少価値の高い列車や設備のお話は過去幾度となく取り上げてまいりましたが、この札沼線にまつわるお話は特に緊急性が高いものであると考えています。少しばかり早起きが必要となりますが、得られる体験は三文以上の価値がありますので、皆様も是非足を延ばしてみてはいかがでしょうか。


今回はここまでです。次回もよろしくお願いいたします。


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posted by yg at 16:21 | Comment(0) | 日記