湖西線近江舞子(おうみまいこ)駅から戻ってきた私は再び新幹線ホームへ向かいました。今度乗車するのは「ひかり」号東京行きです。
流石に東京までは乗車せず、向かったのは静岡駅です。東海道新幹線の主力「のぞみ」に乗らずわざわざ「ひかり」を選んだのはこれが理由です。

静岡駅に降り立ち、駅周辺をうろついて0時頃に戻ってきました。駅構内はほとんど人がいません。そんな中電光掲示板に目をやると、こんな時間に発車していく列車の表示がひとつ。行き先を見ると「高松・出雲市」と書かれています。
私がわざわざ静岡まで来た理由はこれ、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」に乗車するためです。東京駅を22時前に出るこの列車は走行中に日付が変わる静岡県内でも客扱いを行う駅が多数あります。静岡駅もその一つでした。
(上写真は前回乗車時)
以前も乗車したサンライズ号ですが、実質日本唯一の寝台列車となってかれこれ6年経ちます。いずれ車両老朽化で列車ごと廃止となり、そのまま寝台列車が日本から消えてしまう日も近いかもしれません。永遠に失われてから嘆く前に乗っておくのが鉄道趣味の鉄則です。
私はこの静岡に、寝台列車での一夜という体験を得るために来たのです。そう思えば数万の交通費すら安いものに思えてきます。

0:20の定刻通りに列車がホームに入ってきました。こんな時間でも自動の接近放送が流れてくれるのですが、直近3つの停車駅である浜松・姫路・岡山の駅名が聞こえたことには大変驚きました。こんなに遠くの駅まで連れていってくれる、と実感させてくれる瞬間は夜行列車の醍醐味の一つです。

早速乗車して個室に落ち着き、シャワー室に向かおうとしたのですが、まさかのシャワーカード売り切れ。泣く泣くシャワーなしで就寝することになってしまいました。サンライズ号は最上級個室の「シングルデラックス」以外の利用者はシャワーカードを購入できなければそのまま一夜を明かすしかありません。前回もバスタオルが車内になかったことでシャワーを浴びることができませんでしたが、今回もシャワーを逃してしまいました。
翌朝の岡山で下車するため、早々に眠りました。目覚めると5時半ごろ到着の姫路駅。まだ1時間ほどかかるのでもう一度寝ましたが、目覚めると遠く離れた地で朝日を浴びられるこの瞬間だけは何物にも代えがたい貴重なものです。岡山駅が徐々に近づく中、身支度を進める私は心から満足していました。

6時半に岡山駅へ降り立ち新幹線ホームへ。朝イチの「みずほ」から「こだま」を乗り継いで8時前には新岩国駅に戻り、そのまま仕事に向かいます。人生で幾度とない、夜行列車から仕事に向かった珍しい朝でした。
今回はここまでです。次回もよろしくお願いいたします。
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