大宮駅から東北へ再び旅立とうとしたらいきなり夜行の臨時快速に遭遇したお話をしました。車両自体は珍しくなくとも、普段見かけない場所で臨時列車を見かけるとついつい気になってしまいます。新幹線の時間を確認しつつ、撮りたい角度を見つけては記録に勤しんでいました。
今回は時間の都合上東北新幹線「やまびこ」の始発列車ではなく、少し後から出る山形方面への「やまびこ・つばさ」併結17両編成(やまびこ10両・つばさ7両)に乗車します。山形へ向かうのは「つばさ」だけですが、この列車は東北新幹線で特に需要の大きい東京〜福島・仙台間の準速達列車も兼ねているため、山形方面へ分岐する福島駅までは仙台行き「やまびこ」が一緒に走って座席数を確保します。
ちなみに最速達列車はもちろん「はやぶさ」(上写真)です。北海道の函館まで直通する列車でも、最も速い列車は途中大宮・仙台・盛岡・新青森にしか停まりません。こうして見てみると、東北新幹線は鉄道の世界で重要な概念である「遠近分離」の考え方が色濃く反映された路線といえます。
遠近分離とは、遠距離利用者と短距離利用者それぞれの需要を切り離して考え、それぞれに適した列車を用意する考え方のことです。東北新幹線の例でいえば、最も需要の大きい東京〜仙台間は「やまびこ」、さらに遠い盛岡や青森への需要は「はやぶさ」が請け負います。
「やまびこ」は気軽に乗れる自由席を連結し、宇都宮・郡山・福島といった途中主要駅にも丁寧に停車していきます。一方の「はやぶさ」は全車指定席で、大宮〜仙台間は一切停車しません。航空機との熾烈な競争に打ち克つという命題を達成するため、完全に仙台以遠の需要に最適化しています。
停車駅を絞ることは必然として、なぜ「はやぶさ」は全車指定席なのか。その理由は座席単価にあります。
列車の座席数には限度があります。例えば1編成1,000席と決まっていたら、それが満席になればそれ以上予約を受けることはできません。ならば同じ1席でも、東京〜仙台間の乗客ではなく、東京〜新青森間の乗客に提供したいと思うのが当然です。そうでなければ、仙台〜新青森間が空席だったとしても東京〜新青森間の予約は受けられず、結果としてその1席の単価は下がってしまいます。
全車指定席に設定していても仙台から「はやぶさ」に乗る利用者は多いですが、少なくとも自由席料金よりは単価も心理的ハードルも上がります。さらに東京〜仙台間は「やまびこ」を1時間に2〜3本走らせることで、「やまびこ」が不便だというイメージが付かないよう注意を払っています。こうして近距離・遠距離双方の乗客への利便性を最大限確保することで、東北新幹線は遠近分離を実現しようとしているのです。
同じ考え方は山形新幹線「つばさ」、秋田新幹線「こまち」、北陸新幹線「かがやき」でも採用されています。これらの列車はどれも関東対山形・秋田・富山または金沢を乗り通す利用者を優先するために全車指定席となっています。
話を旅行に戻します。
「やまびこ・つばさ」で福島駅へ降り立った私は東北本線へ乗り換えます。この日一発目の撮影スポットは仙台方面の列車で数駅乗った先の桑折(こおり)駅です。この日の午前中は仙台〜福島間の往復を撮影し、すぐに午後の撮影へと向かいます。
485系が登場しないのに2回も消費してしまいました。次回は登場させたいと思います。
【2023.3.8追記】この記事の続きはnoteで執筆中です。下記リンクよりご覧ください。
懐かしの国鉄色を追いかけた日 その11→https://note.com/yanaigrandhotel/n/nb1f53f1441b5
今後本ブログでの記事更新は行わず、noteで更新を行います。引き続きよろしくお願いいたします。
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