2017年09月11日

道央旅行記 その3

皆様こんにちは。柳井グランドホテルの松前篤始でございます。今回も前回に引き続き、北海道旅行のお話を致します。

IMG_5027.JPG

前回までで到達した北海道医療大学駅を発車しますと、列車はいよいよ今回の目的である札沼(さっしょう)線の閑散区間に入ってまいります。しかしだからといって人里離れた秘境の香りが車窓に漂ってくるわけではなく、この先も終始幹線道路と並走します。実はこの札沼線は、その本数の少なさが人里からの隔絶に裏付けられているのではありません。本当の原因は他のところにあるのです。

IMG_5116.JPG

この札沼線の現在の終着駅である新十津川駅と北海道の大動脈である函館本線の滝川駅はバスで10分程度しか離れていません。また路線全体を見渡しても、札沼線と函館本線は大局的に見れば並走しています。このため車窓にも人間の生活の気配というものが多分に感じられ、列車本数から連想される風景とはかなり異なった車窓が広がります。

IMG_1414.JPG

これがもし大都市ならば、例え並行路線が存在したとしても混雑緩和策として有効ですが、札幌都市圏から若干離れてしまう滝川市では線路規格の低い札沼線より高速かつ本数の多い函館本線が圧倒的に支持を受けています。実際函館本線の主力である特急「カムイ」が札幌〜滝川を50分強で結ぶ韋駄天ぶりを見せつけているのに対し、札沼線の気動車は札幌駅から新十津川駅までの所要時間が2時間半を超えます。ここまでの時間差が存在すれば、住民の生活を支える大動脈はどちらであるか明白にお分かりいただけることと存じます。

IMG_5031.JPG

先程から「幹線道路と並走」「人間の生活の気配」という表現を用い、さらには「足が遅い」などど否定的な見解ばかりを述べ、札沼線が風景的にも実質的にも魅力に欠ける路線という印象を皆様に持たせてしまったかもしれません。しかしこの路線はそのような単純な切り口では表現できない魅力を持ち合わせた路線でございます。例えばこの写真をご覧ください。この見事なまでにまっすぐと伸びた単線線路はまさしく北海道の大地の象徴です。札沼線の単行気動車はこの線路を60km/h程度でゆっくりと走っていきます。


通常はるかにまっすぐ伸びる線路を見かければ、許容された最高速度いっぱいで疾走する特急列車の姿に魅力を感じるものです。「はくたか」で取り上げた北陸本線やほくほく線、そして先程紹介した「カムイ」が走る函館本線もその線形の良さから高速運転が大きな魅力となっています。

IMG_5137.JPG
IMG_5068.JPG

一方の札沼線、60km/hという低速では隣を走る自動車のほうが速い場合すらあります。しかし前述の通りこの路線に速達性を求める乗客はほとんど存在しません。むしろ自らハンドルを握る必要のない鉄道においてこれだけの低速で走行しているからこそ、沿線の風景や人々の生活の様子を心ゆくまで堪能できる、そう考える乗客のほうが多いと言えることでしょう。また線路が徐々に視界の彼方へ消えていく様を列車の最後尾の車窓から眺めるというのも郷愁が感じられます。これも急速に遠ざかっていく速達列車では味わえない魅力ではないでしょうか。


一目見ただけで理解できる明確な魅力は少ないかもしれませんが、車窓や車内に目を向ければ確かな魅力が存在しており、それをいかに自分だけの魅力として見出すことができるかを楽しむ路線、それが札沼線だと私は考えます。ですが札沼線の魅力はこれだけにはとどまりません。この先にも様々なイベントが待ち構えております。次回以降そちらもご紹介してまいります。


【柳井グランドホテルのホームページへ】

posted by yg at 13:06 | Comment(0) | 日記

2017年09月04日

道央旅行記 その2

皆様こんにちは。柳井グランドホテルの松前篤始でございます。今回は前回に引き続き、北海道旅行のお話を致します。


IMG_4997.JPG


電車は途中のあいの里公園駅を過ぎるとそれまでの住宅街一辺倒の車窓に変化が生じます。やや農地が見受けられるようになり、列車の本数もこのあたりを境に若干減少します。この光景も、見方を変えれば北海道を象徴する風景といえるのではないでしょうか。ご覧の通り平野の果てに山が見当たりません。


IMG_9499.JPG


以前ご紹介した富山の平野も、その果てには北アルプスの山々が鎮座しておりました。しかし北海道では土地がべらぼうに広いため、どこまでも農地が続いている、そのように見紛う光景を目にすることが出来るということです。ここで北海道の「らしさ」を理解するというのも妙な話ではございますが、私はただ観光地を巡るだけが「旅行」ではないと心得ております故、見方の一つとしてご理解いただければと存じます。


車窓に農地が見受けられるようになると、乗換駅である石狩当別(いしかりとうべつ)駅に到着いたします。ここから先はいよいよ今回の目的の一つ、札沼線の末端区間に乗車してまいります。


IMG_5012.JPG
IMG_5020.JPG


石狩当別駅に降り立った私を出迎えてくれたのは北海道のローカル線を象徴するキハ40型気動車1両編成です。この車両は北海道のほぼ全域でローカル輸送を担当しておりますが、学園都市線の電化以降はその電化区間を運行することはほぼなくなり、検査時以外は専ら末端区間ばかりを運行しているようです。しかし見方を変えれば、本数の少ないローカル線の雰囲気が色濃く残っており、近代的なJR型電車から年季の入った国鉄型気動車への乗り換えは旅行の中で印象に残るアクセントになっているともいえます。まるで違う路線に乗り換えるかのような気分でキハ40型に乗り込みました。


IMG_5027.JPG


車内は座席がほとんど埋まるほどの乗車率ですが、私のような鉄道ファン以外にも地元利用と思しき軽装の乗客の姿もあります。その大多数は次の北海道医療大学駅で下車してしまいますが、ここが電化区間の末端ということでその流動にも納得がいきます。


北海道医療大学駅を発車しても座席はほとんど埋まったまま。やはり1日1往復という事実上の廃線予告が常時発表されているようなものですので、青春18きっぷの利用期間外といえども鉄道ファンが押し寄せているのでしょうか。ですがローカル線が地元外利用で生き残っていけるほどの需要には達していないことは明白であり、それはこの列車が1両編成であることからも分かります。この札沼線もいずれは廃線の憂き目を見ることとなってしまうのかもしれませんが、私も1人の鉄道ファンとして、その日を迎える時まで微力ながらも支え続けていこうと考えました。


今回はここまでです。次回もよろしくお願いいたします。


【柳井グランドホテルのホームページへ】

posted by yg at 10:40 | Comment(2) | 日記

2017年08月14日

道央旅行記 その1

皆様こんにちは。柳井グランドホテルの松前篤始でございます。今回はタイトルにもございます通り、新しい旅行記の連載を始めさせていただきます。日程が1日という短期間でございました故、広範囲を周遊できたわけではございません。しかし以前のような乗るだけの旅行ではなく、様々な角度から楽しむことを意識しました。今回も皆様に楽しんでいただき、また北海道の新たな魅力を発見していただければ幸いに存じます。



IMG_4965.JPG


今回の旅は札幌駅から始まります。ここは言わずと知れた北海道最大の拠点駅ですが、今回まず乗車するのは道内を縦横無尽に駆け回る多彩な特急列車ではなく、こちらの普通列車でございます。この列車が発車するのは7時前とかなり早いですが、わざわざこのように早い出発としたのには時間を有効に使うこと以外の理由がございました。


IMG_4960.JPG



その理由とはこの学園都市線の列車ダイヤにございます。この学園都市線、正確にはJR札沼(さっしょう)線は、その末端区間において列車の運行が1日1往復しか行われておりません(2017年7月現在)。日本には沿線人口の減少に伴い日常的利用に耐えうるとは到底考えられない列車ダイヤが組まれている路線がいくつか存在しておりますが、この札沼線は始発列車が終発列車という日本一利用な困難な路線として君臨しております。今回の旅、その前半の目的はこの札沼線の末端区間を走る列車に乗車することでございます。


IMG_4978.JPG


札幌駅を出てしばらくは、車窓に広がる光景は札幌近郊の住宅街ばかりです(写真がやや見づらく恐縮ですが…)。愛称である「学園都市線」の由来は沿線に点在する教育施設とそれを取り巻く住宅街にあるのだと実感できる光景といえます。また2012年には沿線の発達に伴い都市鉄道としての脱皮を図るため途中の北海道医療大学駅まで電化され、従来はエンジンを唸らせて短い編成の列車が走りゆく路線であった学園都市線は利便性の高い快適な都市鉄道路線として生まれ変わりました。


電化によって利便性が高まった学園都市線は多くの沿線住民に支持され、駅で交換を行う対向列車には乗客が数多く見受けられます。この電化区間ではICカードの利用も可能とあって、一見すれば東京の都市鉄道と遜色ない光景とも表現できます。しかし車両は客室とデッキ部が扉によって仕切られるほか、駅構内では分岐器にヒーターを設け厳寒期でも通常運行するための工夫が随所に見られます。大都会では取るに足らない光景も場所によっては実現するために多大な労力が必要となることが読み取れました。このあたりは以前取り上げた北越急行ほくほく線に通じる部分だと思います。


今回はここまでです。次回もよろしくお願いいたします。

【柳井グランドホテルのホームページへ】

posted by yg at 09:04 | Comment(0) | 日記